総務運用Checker / 勤怠・働き方
年5日の有給取得義務を満たすため、欠勤を有給に変更してよい?
更新日2026.10.23
カテゴリ勤怠・働き方
年に10日以上の年次有給休暇が付与される従業員について、会社には年5日以上の有給休暇を取得させる義務があります。再三にわたって計画的な取得を促しても、なかなか休みを取ってくれない従業員もいます。期限ぎりぎりの駆け込み取得は、同じタイミングで休暇を消化しようとする従業員と重なり、現場に大きな負荷を及ぼすこともあります。そこで、取得期限までに病気などで「欠勤」として処理されていた日を、後から有給休暇に変更できないかと考えるケースがあります。
結論からいえば、本人と会社が合意すれば、欠勤を事後的に有給休暇へ変更することは可能です。ただし、年次有給休暇は本来、事前に取得日を指定する制度です。従業員からの申し出であっても、会社が必ず事後振替に応じなければならないわけではありません。また、年5日の取得義務を満たすために、過去の欠勤を形式的に有給休暇へ変更すればよいというものでもありません。事後振替を認める場合には、本人の意思を確認し、実際の勤怠記録や賃金の取り扱いを適切に修正する必要があります。特に年5日の取得実績に算入できるかは、単なる帳簿上の付け替えになっていないかを含め、慎重に確認するべきでしょう。なお、会社が本人の承諾なく、一方的に欠勤を有給休暇として処理することは避けなければなりません。病欠の扱いについては病欠を有給ではなく欠勤にしてほしいと言われたもあわせてご確認ください。
一方で、会社の定休日を有給休暇として処理しようと考えるケースもあるかもしれません。しかし、そもそも労働義務のない日に、有給休暇を取得することはできません。有給休暇は、本来働く予定だった日に労働義務を免除する制度です。会社の定休日や従業員の所定休日を、有給休暇として扱うことはできません。緊急対応などのために特定の部署だけ休日出勤を命じた場合も、その日が当然に有給休暇を取得できる日になるわけではなく、もともとの所定休日であれば通常の年次有給休暇を充当することはできません。
年5日の取得義務を満たすためには、こうした事後的な調整に頼るのではなく、計画的な取得を促すことが基本となります。取得状況を定期的に確認し、期限が近づいても取得日数が不足している従業員には、早めに取得予定を確認しておきましょう。必要に応じて、会社による時季指定などの制度を適切に活用することも考えられます。
確認ポイント
- 年10日以上の有給休暇が付与される従業員について、年5日の取得状況を把握しているか
- 取得期限が近づく前に、計画的な取得を促しているか
- 欠勤から有給休暇への事後振替について、社内ルールがあるか
- 事後振替を行う場合、本人の意思を確認しているか
- 勤怠記録や賃金計算を適切に修正しているか
- 事後振替を年5日の取得実績に算入する場合、その取り扱いを確認しているか
- 所定休日を有給休暇として処理していないか
こんなケース、どうする?
病気で欠勤した日を、後から有給休暇に変更してほしいと言われた
会社が認めれば、事後的に有給休暇へ変更することは可能です。ただし、会社が必ず応じる義務があるわけではありません。社内ルールを確認し、変更を認める場合には勤怠記録や賃金計算を適切に修正します。
年5日の取得義務を満たすため、会社から欠勤を有給に変更するよう提案してよい?
本人に提案すること自体は考えられますが、本人の意思に反して一方的に変更することは避けるべきです。また、事後振替を行えば必ず年5日の取得実績に算入できると考えず、実態と処理の妥当性を確認します。
有給休暇の取得日数が足りないため、会社の定休日を有給扱いにしてよい?
できません。有給休暇は労働義務のある日に取得するものであり、もともと働く予定のない休日を有給休暇として処理することはできません。
休日出勤を命じた日を有給休暇に変更してよい?
もともとの所定休日であれば、休日出勤の予定があっても、通常の年次有給休暇を充当することはできません。まず、その日が従業員にとって所定労働日なのか、所定休日なのかを確認します。
取得期限までに年5日の有給休暇を取得できそうにない従業員がいる
まず取得状況を確認し、本人に取得予定を確認します。それでも取得が進まない場合には、会社による時季指定など、法令上認められた方法で取得を進める必要があります。期限を過ぎてから勤怠記録を形式的に修正するのではなく、期限内に実際の休暇取得を確保することが重要です。