有給休暇は拒否できない。会社にできるのは「時季変更」だけ
会社は、従業員が希望した有給休暇の取得そのものを拒否することはできません。事業の正常な運営を妨げる場合に限り、取得日を他の時季へ変更する「時季変更権」を行使できるにとどまり、休暇自体を取り消すことはできません。なお、これは年5日の有給休暇取得義務において会社が取得日を指定する「時季指定」とは別の制度です。
確認ポイント
- 有給休暇は原則として従業員が希望する時季に取得できることを理解しているか
- 「繁忙期」という理由だけで一律に有給申請を拒否する運用になっていないか
- 時季変更権を行使する場合の判断者や社内ルートを決めているか
- その従業員が休むことで事業の正常な運営を妨げるのか、具体的に確認しているか
- 代替要員の確保や勤務調整など、時季を変更せず対応できないか検討しているか
- 時季変更する場合、別の日に有給休暇を取得できるよう調整しているか
- 年5日の有給休暇取得義務における「時季指定」と「時季変更権」を混同していないか
こんなケース、どうする?
繁忙期に「明日、有給休暇を取ります」と申請された。
繁忙期であることだけを理由に変更するのではなく、その従業員が休むことで事業の正常な運営を妨げるのか確認していますか。
同じ日に複数の従業員から有給休暇の申請があった。
全員が休んだ場合の業務への影響や、勤務調整・代替要員の確保が可能かを確認したうえで、時季変更が必要か判断していますか。
上司から「人手不足だから有給を認められない」と言われた。
慢性的な人手不足を理由として一律に有給休暇を取得させない運用になっていませんか。個別の申請について、事業の正常な運営への影響を判断できていますか。
「旅行に行くなら有給は認めない」と上司が言っている。
有給休暇の利用目的によって取得の可否を判断するのではなく、希望された時季に休暇を与えることで事業の正常な運営を妨げるかという観点で判断していますか。
時季変更権を使って、有給休暇の申請自体を取り消した。
時季変更権は有給休暇を取得させないための制度ではありません。別の時季に取得できるよう調整していますか。
年末年始に有給申請が集中することが毎年分かっている。
申請があってから個別に時季変更するだけでなく、事前に業務体制や休暇取得の調整方法を検討できているでしょうか。
「年5日の有給取得のため、会社から指定された日を変更してほしい」と言われた。
年5日取得義務に基づく会社の「時季指定」と、従業員が請求した有給休暇に対する「時季変更権」は別の制度です。両者を区別して運用できていますか。詳しくは年5日の有給休暇取得義務もあわせてご確認ください。