1. 総務業務とアウトソーシングの相性
以前、「アウトソーシングは『業務設計』で成果が決まる」という記事をご紹介しました。
アウトソーシングは、最初の設計が十分でないと費用対効果が出ないばかりか、委託先との調整やトラブル対応が増え、結果として社内の負担が大きくなることがあります。
だからこそ、最初に業務を整理し、その後は委託先と協力しながら効率化と品質向上を進めていくことが重要です。
2. まずは業務一覧表を作る
では、どこまでを委託するのかは、どのように決めればよいのでしょうか。
BPO会社では業務分析から支援してくれる場合もありますが、一般的には次のような資料を基に検討が進みます。
- 業務一覧表
- 現在の業務フロー(As-Is)
- 改善後の業務フロー(To-Be)
- 業務マニュアル
最初に作成したいのが業務一覧表です。業務をカテゴリごとに整理し、それぞれの業務について次のような情報を記載します。
- 業務名
- 担当者
- 承認者
- 1件あたりの処理時間
- 月間・年間の発生件数
- 月間工数
こうして業務ごとの工数を算出すると、どの業務に時間を使っているのかが見えるようになります。
業務一覧表の作成を支援してくれるBPO会社もありますが、多くの場合は担当者へのヒアリングをもとに作成されます。結局は社内の担当者しか分からない情報が多いため、丸投げして完成するものではありません。そのため、可能な範囲で自社で作成しておいた方が、委託準備の時間やコストを抑えられるでしょう。
3. 業務フローは専門家に任せてもよい
業務フローについては、BPO会社に依頼するという選択肢もあります。業務一覧表からある程度の現状は把握できますが、
- 承認フロー
- システム間の連携
- 条件分岐
- 役割分担
などを統一したルールで図式化するには、ある程度の経験が必要です。
BPO会社は、業務一覧表と現状フロー(As-Is)を確認しながら、
「この業務は委託できる」
「この工程は省略できる」
「この承認は不要ではないか」
といった改善案を盛り込んだ改善後フロー(To-Be)を提案してくれることがあります。ここは、多くの業務改善を経験してきたBPO会社の強みが活かされる部分です。
委託元として細かなフローの書き方まで指示する必要はありません。それよりも、
- 工数やコスト
- 品質・納期
- エスカレーションルール
- システムやライセンス
- 権限設定
- 貸与物管理
- 定例会や報告方法
といった運用面を理解し、合意しておくことが重要です。また、委託開始後はフロー図をもとにマニュアル整備も進められます。十分な業務引継ぎは必要になりますが、それを乗り越えることで業務の標準化や属人化の解消にもつながります。
4. 委託後は「管理」が仕事になる
アウトソーシングは、仕事を渡して終わりではありません。委託後には、必ず一定の管理工数が発生します。例えば、
- 問い合わせやエスカレーションへの対応
- 月次報告の確認
- 品質や納期の確認
- トラブル対応
- 契約内容の見直し
などです。また、委託先から改善提案を受けることもあります。すべてを受け入れる必要はありませんが、実現できる改善であれば積極的に取り入れることで、より良い運用につながります。
社内調整が必要になることもありますが、委託先を単なる外注先ではなく、業務改善のパートナーとして考える姿勢も重要です。
5. BPO会社の選び方
BPO会社には、それぞれ得意分野があります。例えば、
- コールセンター
- 経理
- キッティング
- 情報システム
など、特定業務を標準化して提供している会社も多くあります。一方、総務業務は少量多品種になりやすく、複数の業務を組み合わせて運用するケースが少なくありません。そのため、あらかじめ決められたサービスを提供する会社よりも、業務設計から柔軟に対応できる会社の方が適している場合があります。
また、業務を集めても1人月程度しかない場合は、BPOより派遣社員の方が適しているケースもあります。「まずはBPOありき」ではなく、派遣や他の選択肢も含めて中立的に提案してくれる会社であれば、より信頼できるパートナーと言えるでしょう。
まとめ
アウトソーシングの成否は、委託先選びだけで決まるものではありません。まずは業務一覧表を作成し、自社の業務量や工数を把握することが第一歩です。業務が整理されていれば、BPO会社からもより具体的で精度の高い提案を受けやすくなります。
「どの業務を委託するか」ではなく、「自社の業務を見える化すること」から始めてみてはいかがでしょうか。