1. 業務委託・アウトソーシングとは?
アウトソーシング(以下「業務委託」)とは、業務の一部または全部を外部の専門会社へ委託することです。
自社社員・派遣社員・業務委託には、それぞれ次のような違いがあります。
業務委託では、誰が担当するかや、どのような手順で仕事を進めるかは、基本的に委託先が決めます。発注側は成果物やサービス品質を管理し、業務の進め方そのものには細かく指示しません。
一定の品質で業務を継続して実施してもらえることが、業務委託の大きなメリットです。
では、総務業務もすべて委託すれば良いのでしょうか。
2. 業務委託に向く仕事、向かない仕事
業務委託に向いている仕事は、一定のボリュームがあり、標準化・ルーティン化しやすい業務です。
例えば、
- PCキッティング
- ITヘルプデスク
- 経費精算の一次チェック
- 営業事務
- 採用事務(応募者対応・面接日程調整など)
といった業務は比較的アウトソーシングとの相性が良いと言えます。
一方で、総務業務を見渡してみると、意外にも業務委託に向く仕事はそれほど多くありません。
3. 総務業務が業務委託に向きにくい理由
総務業務が委託しにくい理由はいくつかあります。
- 機密情報を扱う場面が多い
- システム管理者権限など、高い権限を扱うことがある
- 年1回など発生頻度が低い業務が多い
- 細かな依頼が散発的に発生する
- 業務量を見積もりにくい
前章で紹介したような「一定量を毎日処理する仕事」と比較すると、総務業務は細かな仕事の集合体であることが少なくありません。
そのため、業務委託が最も得意とする業務とは性質が異なる場合があります。
4. 総務業務をアウトソースするなら
総務業務をアウトソースするのであれば、まず日々の仕事を可視化することが重要です。
実際に分析してみると、
- 従業員からの問い合わせ対応
- 申請書の不備対応
- 代表電話の一次受付
- 郵便物の仕分け
などが、多くの時間を占めているケースがあります。
例えば、問い合わせ対応だけで一人月以上の工数が発生しているようであれば、一次受付だけを外部へ委託するという方法も考えられます。電話受付や郵便物の仕分けなども組み合わせることで、一定の業務量を確保できれば、アウトソーシングの対象として検討しやすくなります。
一方で、
- AIチャットボット
- FAQサイト
- システム化
- 派遣社員の活用
といった他の選択肢の方が適しているケースもあります。業務委託だけが正解とは限りません。
5. 業務委託では「管理」が重要になる
仮に、これまで社員3名で行っていた問い合わせ対応を業務委託したとします。
すると、「社員3人分の工数が丸ごと空く」と考えてしまいがちですが、実際にはそう単純ではありません。業務委託では、発注側にも一定の管理工数が必要になります。
例えば、
- エスカレーション窓口
- 委託先からの改善提案の検討
- 障害・トラブル対応
- 他部署との調整
といった役割です。もちろん案件によって異なりますが、こうした窓口業務には一定の工数が必要になります。
しかし、その管理工数をかけることで、委託先から「もう1ライセンス追加すれば処理速度が改善します」「営業部から提出される資料が3日早くなれば、全体工数を削減できます」といった改善提案を受けられることもあります。
業務委託の価値は、人手を補うことだけではありません。第三者の視点から改善提案を受けられることも、大きなメリットの一つです。
6. アウトソーシングを検討するなら、まず業務を可視化する
総務業務は、情シスや営業事務、経理事務などと比べると、業務委託に向く範囲を慎重に見極める必要があります。
アウトソーシング会社の中には、業務棚卸しやAs-Is/To-Be分析を行い、委託範囲を提案してくれる会社もあります。一方で、業務委託を前提とした提案になってしまうケースもあるため注意が必要です。
総務業務では、
- システム化
- 業務改善
- AI活用
- 派遣社員の活用
- アウトソーシング
など、複数の選択肢を比較しながら最適な方法を考えることが重要です。
業務委託は非常に有効な手段ですが、成功の鍵は「何を委託するか」ではなく、「どのように設計するか」にあると言えるでしょう。