「自分が作った資料」でも、会社に権利が帰属することが多い
在職中に業務として作成した企画書・提案書・デザイン・プログラムなどは、著作権法上「職務著作」(著作権法15条)として、会社が著作者となるのが一般的です。従業員個人の作品ではなく会社の資産として扱われるため、退職後に本人から請求されたからといって、当然に開示・提供しなければならないわけではありません。退職者への対応全般は退職者対応は、最後まで総務の仕事もあわせてご確認ください。
確認ポイント
- 退職者から資料提供を求められた場合の窓口・対応フローを決めているか
- 依頼された資料が業務として作成したものか、退職者個人の私物・アイデアなのかを区別できるか
- 資料に顧客情報や取引先情報、他の従業員の個人情報が含まれていないか確認する運用があるか
- 「転職活動のため」「ポートフォリオに使いたい」といった理由であっても、上長・法務・情報セキュリティ部門の確認を経る運用になっているか
- 提供する場合、原本ではなく一部抜粋やマスキングなど提供範囲を限定する方法を検討しているか
- 資料提供を断る場合の説明の仕方や、代わりに提示できる情報(実績証明書など)をあらかじめ用意しているか
- 貸与PCや共有ドライブへのアクセス権が、退職時点で確実に削除されているか
こんなケース、どうする?
「転職活動のポートフォリオに使いたいので、自分が担当したデザインのデータがほしい」とメールが来た。
依頼内容が私物なのか会社の資産なのかを整理せず、そのまま送ってしまっていませんか。
「自分が作った提案書だから、返してもらう権利があるはず」と主張された。
業務として作成した資料は会社に著作権が帰属するという考え方を、本人へ説明できる準備ができていますか。
提供を求められた資料の中に、顧客名や取引条件など社外秘の情報が含まれていた。
提供の可否を判断する前に、資料の中身を確認するプロセスが用意されていますか。
元同僚を通じて「あの資料をもらえないか本人が困っている」と間接的に依頼された。
本人以外からの間接的な依頼にどう対応するか、ルールを決めていますか。
「会社を辞めた後でも、自分のアイデアだから使ってもいいですよね」と確認された。
職務著作の考え方を伝えられず、あいまいな回答をしていませんか。
資料提供を断ったところ、「なぜ渡せないのか納得できない」とクレームに発展した。
断る理由を説明する材料(就業規則・秘密保持誓約書など)を、あらかじめ用意できていますか。