1. 小口現金はどんな場面で必要なのか
「できれば小口現金はやめたい。」
そう考えている総務や経理担当者は少なくないでしょう。
一方で、総務や経理以外の従業員からすると、
「少しくらい現金があってもいいのでは?」
と思われることもあります。
この温度差そのものが、小口現金を廃止しにくい理由の一つなのかもしれません。
小口現金は、例えば次のような場面で利用されています。
- 着払い荷物の支払い
- 後納契約がない郵便料金の支払い
- 少額な消耗品の購入
- 急な外出や営業活動で発生した交通費
- 得意先への手土産
- 来客用のお茶菓子
また、企業によっては、新卒採用の面接時に交通費を現金で支給しているケースもあります。
相手は企業ではなく個人です。請求書による後払いが難しいため、その場で現金を渡す運用になっていることもあります。
「小口現金が必要になる場面は、まだ残っている。」そう感じた経験があります。
2. なぜ小口現金をやめたいのか
小口現金は、手提げ金庫などで管理されることが一般的です。
保有額は会社によって異なりますが、10万円程度までとしている会社も多いでしょう。利用頻度が高い会社では、もう少し多めに管理している場合もあります。
一定期間ごとに補充する会社もあれば、残高が一定額を下回った時点で補充する運用もあります。いずれにしても、銀行へ現金を補充しに行く手間は避けられません。
さらに、小口現金には次のような負担があります。
- 伝票と現金残高が一致しているか確認する
- 差異があった場合の調査
- 現金補充の手間
- 紛失・盗難・不正のリスク
- 現金管理のため出社が必要になる場合がある
便利ではあるものの、管理する側にとっては負担も小さくありません。
3. 小口現金を廃止するには
小口現金をなくすには、まず現在どのような用途で使われているのかを棚卸しする必要があります。
基本的には、
- 請求書払いや法人カード決済へ切り替える
- 従業員立替払いへ切り替える
という二つの方法を組み合わせていくことになります。
しかし、請求書払いへ変更できないケースも少なくありません。例えば、
- 着払い荷物
- 郵便料金
- コンビニで購入する消耗品
- 急な来客対応
などは、請求書払いが難しい場合があります。そのため、従業員立替が現実的な選択になることもあります。
ただし、数万円単位の立替が発生する場合には、従業員へ一定の負担をお願いすることになります。そのため、
- 法人カードを導入する
- ネット購入へ切り替える
- 郵便局や宅配会社と後納契約を結ぶ
- 請求書払いへ変更できる取引先は変更する
など、一つずつ現金が必要な場面を減らしていくことが重要です。
営業担当者の交通費や交際費なども、精算まで本人立替としている会社は珍しくありません。現金ですぐ受け取りたいという従業員もいるでしょう。これが冒頭で触れた「温度差」です。
しかし、現金管理に伴う工数やリスクまで考えると、会社として立替精算を選択することにも十分な理由があります。
また、採用面接時の交通費についても、企業によって運用はさまざまです。オンライン面接を活用したり、支給方法そのものを見直したりするなど、現金支給以外の方法を検討する余地もあるかもしれません。
4. その他の対応策と注意点
現金以外の手段を利用する
交通費支給にQUOカードなどの金券を利用する会社もあります。一方で、金券自体の在庫管理や購入管理が新たに必要になるため、運用負荷が増える可能性もあります。
部署単位で法人カードを利用する
法人カードを利用すれば、小口現金を減らせるケースもあります。ただし、
- 管理責任者を明確にすること
- 利用ルールを整備すること
- 利用履歴を適切に管理すること
などの統制は必要になります。
QRコード決済・電子マネーを利用する
QRコード決済や電子マネーも選択肢の一つです。ただし、
- 利用履歴の管理
- 法人口座との連携
- 証跡管理
- 個人情報への配慮
など、新たな運用を考える必要があります。現金をなくせば終わり、というわけではありません。
5. 小口現金をなくすことが目的ではない
小口現金を廃止すること自体が目的ではありません。本当に重要なのは、
「現金でしか対応できない業務が、どれだけ残っているのか」
を把握することです。その上で、
- 法人カード
- 請求書払い
- 従業員立替
- 後納契約
- キャッシュレス決済
などへ少しずつ置き換えていくことが、現実的な進め方になります。
小口現金は、一度に廃止できるものではないかもしれません。しかし、一つずつ現金が必要な場面を減らしていくことで、管理工数やリスクも着実に減らしていくことができます。
これもまた、総務が会社を支えるための大切な仕事の一つなのです。