1. 書類収集に手間がかかる理由

総務が従業員から書類を収集しなければならない場面は数多くあります。

  • 入社:雇用契約書、労働条件通知書、年金手帳、給与振込口座、マイナンバー など
  • 退社:退職願、貸与品返却、秘密保持誓約書、離職票送付先、源泉徴収票送付先 など
  • 年末調整:基礎控除申告書、扶養控除申告書、配偶者控除申告書、各種保険料控除証明書 など

このほかにも、住所変更、扶養変更、資格証明書など、総務にはさまざまな書類が提出されます。

収集がスムーズに進まない理由として、次のようなケースがあります。

  • 一度で必要書類が集まらない
  • 不備による差し戻しが発生する
  • 提出者と受領者の双方が提出状況を把握できていない
  • 本人ではなく、人事や上長が代理提出することがある
  • 申請と書類提出のタイミングが異なる

実は、書類そのものを管理するよりも、「誰が何を提出していないか」を管理する方が難しいのかもしれません。

2. パーソナライズされた提出先を作る

今回は、Googleドライブを活用した実務的な方法を紹介します。

例として、入社書類の収集を考えてみます。

  • ① 人事がGoogleフォームから内定者を登録する
  • ② GASがGoogleドライブ上に内定者専用の提出フォルダを自動生成し、人事へ共有する
内定者情報をGoogleフォームで入力し、スプレッドシートを経由してGASが内定者専用の提出用フォルダと総務専用の格納用フォルダをGoogleドライブ上に自動生成する流れを示した図
内定者情報の入力から提出フォルダの自動生成まで
  • ③ 人事は内定者から書類を受領するたびに、そのフォルダへ保存する
  • ④ GASがフォルダ内のファイルを検知し、総務専用ページへ表示する
人事が提出用フォルダへ入社書類を格納すると、GASがファイルの有無を監視し、総務向け画面に未処理・処理済みの件数と進捗を表示する流れを示した図
書類の格納と提出状況の監視
  • ⑤ 総務はページ上で書類を確認し、不備チェックと書類の種類(雇用契約書、給与振込口座など)を選択する
  • ⑥ GASがファイル名をルールに沿って変更し、正式な保管先へ移動する
  • ⑦ 正式な保管先をもとに、提出状況を一覧表示する
  • ⑧ 入社日経過後、提出フォルダをクローズまたはアーカイブする
総務が画面上で提出書類を確認・処理すると、GASが提出用フォルダから正式な格納用フォルダへファイルを移動し、提出状況をモニタリングしたうえで入社日を過ぎたフォルダを削除する流れを示した図
総務による確認・処理から提出フォルダのクローズまで

この方法では、提出者はファイル名を意識する必要がありません。

総務が最終確認を行い、その時点で書類を正規化するため、現実的な運用が可能になります。

3. GASで実現する機能

今回利用しているGASの機能は比較的シンプルです。

  • Googleドライブのフォルダを作成する
  • ファイルの有無を確認する
  • ファイル一覧を画面に表示する
  • ファイル名を変更する
  • ファイルを別フォルダへ移動する
  • 入社日などをもとに提出フォルダをクローズする

高度な画像認識やAIによる書類判別は利用していません。

総務による目視確認を組み合わせることで、開発コストを抑えながら実務で十分使える仕組みを実現しています。

4. 期待される効果

この仕組みは、アンケートのように一度だけ提出するものや、提出物が一つしかないものでは効果は限定的です。

一方で、

  • 提出物が複数ある
  • 何回かに分けて提出される
  • 提出時期が人によって異なる

といったケースでは大きな効果を発揮します。

提出者と総務の双方が提出状況を確認できるため、提出漏れや確認漏れを防ぎやすくなります。

5. 応用例

この仕組みは、個人ごとの提出フォルダを起点とすることで、さまざまな業務へ応用できます。

  • 年末調整
  • 身上変更届
  • 退職手続き
  • 休職申請
  • 育児休業申請
  • 復職申請

提出書類が増えるほど管理は煩雑になりますが、個人フォルダと総務による確認を組み合わせた運用にすることで、漏れを防ぎながら、大規模なシステムを導入せずに運用できます。

Google Workspaceではフォルダ単位で柔軟にアクセス権を設定できるため、このような運用とも相性が良いと言えるでしょう。

まとめ

書類の提出状況の管理に苦労したことはありませんか。

メールで五月雨式に書類が送られてきたり、どこまで提出されたのか分からなくなったりした経験がある企業も多いでしょう。

GoogleドライブとGASを組み合わせることで、提出先を個人ごとに整理し、提出状況を見える化できます。

完全自動化を目指すのではなく、人の判断を必要な場面だけ残すことで、現場で運用しやすい仕組みを実現できます。