1. 健康診断受診の催促が手間な理由

労働安全衛生法では、事業者に労働者への定期健康診断の実施が義務付けられています。

また、常時50人以上の労働者を使用する事業場では、健康診断実施後に「定期健康診断結果報告書」を労働基準監督署へ提出する必要があります。

そのため、総務担当者は健康診断を案内するだけでなく、受診状況を把握し、未受診者へ継続的にフォローする必要があります。

しかし、現場では

  • 忙しくて予約する時間がない
  • 自分は健康だから後回しでいい
  • 予約すること自体を忘れてしまう

といった理由から、受診が進まないケースも・・・。

年度末が近づくにつれ受診希望者が集中し、「今年度中に受診できませんでした」というケースも発生します。

総務としては、「誰がまだ予約していないのか」を把握しながら催促しなければなりません。

一方で、「もう予約しました。」と言われてしまうのも避けたいところです。

未回答者だけを自動で抽出し、その人だけへ催促メールを送れたら便利だと思いませんか。

2. Googleフォームで未回答者を把握する

この仕組みはGoogle Workspaceだけでも比較的簡単に実装できます。

まず、健康診断予約用のGoogleフォームを作成します。

健康診断予約用のGoogleフォーム。受診予約日・受診機関名・結果送付場所を回答する画面
健康診断予約用のGoogleフォーム

質問例としては、

  • 受診予定日
  • 医療機関
  • 健康診断結果の送付先

などが考えられます。診断結果が自宅に届くか会社に届くかは重要ですよね。

Google Workspace環境では、回答者のメールアドレスを取得できるよう設定しておけば、フォームへ回答したユーザーを自動的に識別できます。

Googleフォームの設定画面。「メールアドレスを収集する」が「確認済み」に設定されている
フォームの設定でメールアドレスを収集する

回答内容はスプレッドシートへ保存されます。 フォーム回答者のメールアドレスと従業員マスタのメールアドレスをGASで突き合わせるだけで、未回答者を簡単に抽出できます。

フォームの回答が保存されたスプレッドシート。タイムスタンプ・メールアドレス・受診予約日・受診機関名・結果送付場所が記録されている
フォーム回答が保存されるスプレッドシート
従業員マスタのスプレッドシート。社員番号・氏名・メールアドレス・部署ID・性別・生年月日などが一覧管理されている
突き合わせに使う従業員マスタ

3. 催促メールを自動送信する

次に、メール送信スケジュールを管理するスプレッドシートを用意します。 本文には健康診断フォームへのURLを記載しておきます。

メール送信スケジュールを管理するスプレッドシート。送信日・件名・本文の列があり、本文には健康診断フォームへのURLが記載されている
メール送信スケジュールを管理するスプレッドシート

GASでは、

①当日の日付を取得
    ↓
②メール送信スケジュールを確認
    ↓
③フォーム回答者と従業員マスタを突合
    ↓
④未回答者だけ抽出
    ↓
⑤件名・本文をそのまま利用してメール送信

という流れで処理します。

今回はデモの都合上、メール送信の様子までは紹介していませんが、記事末尾で使用したGASコードを公開して置きます。

GASコードを見る

4. 実務に合わせた調整

メール送信の自動化自体は難しくありません。

一方で、実際の運用では会社ごとにルールが異なるため、次のような調整が必要になります。

  • 予約日と受診日のどちらを管理するか
  • 予約不要の医療機関へ行くケース
  • 受診したが結果がまだ届いていないケース
  • 健康診断結果をどこへ送付するか

このような部分は、各社の運用ルールに合わせて設計するとよいでしょう。

5. 応用例

この仕組みは健康診断だけではありません。

Google WorkspaceとGASを組み合わせることで、次のような業務にも応用できます。

  • 受診状況のリアルタイム集計
  • 部署ごとの受診率集計
  • 年度ごとのメール送信スケジュール自動作成
  • 健康診断結果をもとにした産業医面談対象者の抽出
  • 労働基準監督署へ提出する資料作成の補助
  • ストレスチェックの受検管理
  • 情報セキュリティ研修やコンプライアンス研修の受講管理

毎年繰り返し発生する業務だからこそ、一度仕組みを作ってしまえば、その後の運用負荷を大きく減らせます。

まとめ

健康診断の受診管理は、多くの企業で毎年発生する定型業務です。

Google WorkspaceとGoogle Apps Scriptを活用すれば、

  • 未回答者の自動抽出
  • 催促メールの自動送信
  • 回答状況の可視化

までを比較的シンプルに実現できます。

総務担当者が毎年行っている「誰に催促するか」という確認作業を減らし、本来注力すべき業務へ時間を使えるようになるでしょう。