1. 通勤交通費変更申請

住所変更があった場合、Googleフォームなどから住所変更届を提出してもらいます。会社によっては、住民票や公的郵便物などの提出も必要になるでしょう。

総務では、その後に

  • 従業員マスタの更新
  • 住民税の異動届
  • 定期券情報の変更
  • 通勤手当の変更

などを行います。

また、引っ越しだけではありません。比較的長期間、お客様先へ常駐する場合などでも、新たな通勤経路や定期券の購入が必要になることがあります。そのため、住所変更や勤務地変更では、通勤交通費の変更申請もあわせて行われるケースが多くあります。

2. 本当に総務が調べる必要がありますか?

例えば、従業員が「バスと電車を利用したい」という申請をしたとします。社内規程には次のような条件があるかもしれません。

  • 最寄り駅まで徒歩20分以上の場合のみバス利用可
  • 最寄り駅まで2km以上の場合のみバス利用可
  • 経済的合理性がある場合のみバス利用可

ここで考えたいのは、その条件を毎回総務が調査する必要があるのかということです。

通勤交通費の確認業務に頭を抱える総務担当者。最寄り駅は本当にそこか、徒歩20分以上か、バス利用のほうが合理的か、もっと安い経路はないかという4つの疑問に囲まれ、調査に時間がかかり他の重要業務が後回しになっている様子を示す図
通勤交通費の妥当性確認に、総務の時間が奪われていないか

例えば、最寄り駅は本当にそこなのか、徒歩20分以上なのか、バスを利用したほうが合理的なのか、もっと安い経路はないのか。これらを一件ずつ調べるには、それなりの時間がかかります。

さらに、「最寄り駅ではないが、乗換えの都合で少し遠い駅のほうが早く着く」というケースもあります。ここまで総務が判断することは、本当に付加価値のある仕事なのでしょうか。

3. 社員セルフサービスという考え方

業務効率化だけを考えるなら、「申請内容を正として処理する」という考え方もあります。もちろん、会社の規程を守ることが前提です。

従業員は規程を理解した上で申請し、上長はその内容を確認して承認する。総務は承認済みの内容をもとに処理を進めます。例えば、

住所変更フォーム
      │
      ▼
上長承認
      │
      ▼
総務へ通知
      │
      ▼
従業員マスタ更新
通勤手当更新

という流れです。これだけでも、総務が経路を調べる、総務が金額を比較する、総務が徒歩時間を確認するという業務を省略できます。

一方で、上長によって承認基準が異なると不公平感が生まれる可能性があります。そのため、「上長の裁量で承認する」のではなく、「社内規程に基づいて承認する」という運用を徹底することが重要です。

4. それでも確認が必要なら

もちろん、「すべて申請どおりで良い」という企業ばかりではありません。その場合は、

  • 定期代が一定金額を超える
  • バス利用を含む
  • 特殊な経路である

など、一定条件だけ確認する方法もあります。全件確認ではなく、一部だけを確認対象にすることで、総務の負担を大きく減らせます。

5. 過剰サービスになっていませんか?

総務の業務改善を進めていると、「そこまで総務がやる必要があるのだろうか」と思う業務に出会うことがあります。もちろん、不正を防止することは重要です。

しかし、そのために全従業員の申請を毎回細かく確認することが、本当に費用対効果に見合っているかは別問題です。業務改善とは、「何を自動化するか」だけではありません。「何をやらないか」を決めることも改善です。

山積みの書類を手で押しとどめ、代わりに申請・承認・通知が自動で流れていく仕組みを指し示す総務担当者。すべてを確認するのではなく、必要な範囲だけに集中する働き方への転換を示す図
「何をやらないか」を決めることも、業務改善の一つ

まとめ

社員セルフサービスとは、「従業員が自分のことは自分で責任を持って申請する」という考え方です。その前提には、会社の規程を理解し、遵守するという信頼関係があります。

GoogleフォームやGASを使えば、住所変更申請、上長承認、総務への通知、従業員マスタ更新までは十分に自動化できます。

一方で、通勤経路や交通費の妥当性を毎回総務が細かく確認することが、本当に総務の役割なのかは、一度立ち止まって考えてみてもよいでしょう。「過剰サービス」が総務を忙しくしているケースは意外と少なくありません。

社員セルフサービスとは、システムを導入することだけではなく、「従業員を信頼し、本来総務が行うべき仕事に集中する」という運用そのものでもあります。