1. 使用シーン
ワークフローツールは全社共通の運用を想定して作られているため、企業ごとの細かなルールや例外運用まで対応することは難しい場合があります。
例えば、本来は「申請 → 承認」で終了する申請にもかかわらず、パッケージソフトでは必ず二次承認まで必要になるケースです。その結果、一次承認者が二次承認も兼ねて承認ボタンを押しているという運用になっていないでしょうか。
また、通常は直属上長が承認するものの、ある資材だけは設備管理部門の承認が必要になるなど、特定の申請だけ承認ルートが異なるケースもあります。
もちろん、申請フォームを増やしたり条件分岐を設定したりすることもできますが、そのためだけに既存システムを変更するのは大きな手間です。結局、その申請だけ紙で運用している企業も少なくありません。
このようなケースであれば、GoogleフォームとGASを利用して、その申請専用のワークフローを作成するという選択肢があります。また、そもそもワークフローツールを導入していない企業であれば、Google Workspaceだけで簡易的な承認フローを構築することも十分可能です。
2. GASの実装イメージ
今回使用するものは次のとおりです。
- 申請者用Googleフォーム
- 承認者用Googleフォーム
- 従業員マスタ(承認権限を含む)
- 回答用スプレッドシート
- 回答用スプレッドシートに紐付けたGAS
全体の流れは次のようになります。
申請者フォーム
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▼
回答スプレッドシート
│
▼
GAS
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├ 承認者を従業員マスタから取得
├ 承認メール送信
└ 必要に応じて催促メール
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承認者フォーム
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▼
回答スプレッドシート
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▼
GAS
│
▼
総務へ通知・後続処理
実際の流れは以下のようになります。
- ① 申請者がGoogleフォームへ入力(ファイル添付も可能)
- ② 回答スプレッドシートへデータが保存される
- ③ GASが従業員マスタから承認者を取得
- ④ 承認者へ承認依頼メールを送信
- ⑤ 承認者がGoogleフォームで承認・差戻しを実施
- ⑥ 総務へ通知し、後続処理を行う
3. 承認メールがポイント
この仕組みで重要なのは、承認依頼メールです。
Googleフォームには、URLを開いた時点で申請内容を画面へ表示する機能がありません。そのため、メール本文に申請内容を記載します。
申請日:2026年7月1日 9:05
申請者:山田太郎(営業部)
申請内容:タブレットPC購入
購入金額:128,000円
コメント:
システムのデモンストレーション用として営業活動で使用します。
その下に承認フォームへのURLを記載します。承認者はメールで内容を確認し、承認フォームでは次の項目だけを入力すれば済みます。
- 承認
- 差戻し
- コメント
4. 申請IDで申請を識別する
承認フォームだけでは、どの申請に対する承認なのか識別できません。
そこで、承認フォームのURLへ申請IDを事前入力した状態で送信します。承認フォームを開くと申請IDが自動入力され、そのまま送信されるため、回答スプレッドシート上で元の申請と紐付けることができます。
これにより、Googleフォームを組み合わせるだけで承認フローを実現できます。
5. Googleフォームの限界
Googleフォームでは、URLから事前入力された内容は編集可能です。つまり、申請IDも変更できてしまいます。
一般的な社内利用では問題になるケースは多くありませんが、システムとして改ざんを防止することはできません。厳密な改ざん防止や編集不可の承認画面が必要な場合は、GoogleフォームではなくGASのWebアプリ(HTML Service)で画面を作成するほうが適しています。
一方で、Googleフォームだけでも次のようなメリットがあります。
- 既存の従業員マスタをそのまま利用できる
- Googleフォームのアクセス権で承認者を限定できる
- ファイル添付に対応できる
- 一定時間承認されない場合の催促メールを自動送信できる
- Google Workspaceだけで構築できるため追加ライセンスが不要
まとめ
ワークフローツールは、すべての業務を置き換えるためだけのものではありません。既存のワークフローでは対応しづらい例外業務や、小規模な申請フローをGoogle Workspaceで補完するという考え方もあります。
Googleフォーム、スプレッドシート、GASを組み合わせることで、承認依頼や催促、進捗管理まで自動化できます。
総務の仕事を滞らせる原因の一つは、「承認待ち」の時間です。小さなワークフローでも自動化することで、待ち時間を減らし、総務担当者が本来取り組むべき業務へ時間を使えるようになります。これも業務自動化による改善の一つといえるでしょう。